読書日記 2008年

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物語 スペインの歴史 岩根圀和 中公新書 ★★★☆☆

「物語」というタイトルに偽りはなく、歴史書というよりも歴史小説の風情である。
異端裁判、レパントの海戦、「無敵艦隊」のイギリスとの決戦など、いくつかのトピックについて、想像も交えつつ文学的な筆致で描き出している。それぞれの話題は確かに面白いが、著者の思い入れが強く反映されすぎていて、スペイン史について概観したというにはほど遠い。無敵艦隊が敗北を喫したあと、ロルカ暗殺へと話題が飛躍するのは、流石に唐突な感じが否めない。

スペインの歴史はダイナミックであるが、負の歴史に彩られている。本書ではほとんど触れられていないが、スペイン人が新大陸でなしたことは、人類史上最悪の犯罪だと思っている。人類の歴史とはすなわち戦争(あるいは、一方的な殺戮)の歴史であって、歴史の記述というものは、本質的に「自虐的」でなければならない、と私は思う。(08/04/19 読了)

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