読書日記 2008年

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ルポ 貧困大国アメリカ 堤未果 岩波新書 ★★★★☆

ひでぇ国だ・・・。世界中のワーキングプアが支える「民営化された戦争」。多重の借金を抱える人の携帯電話に直接電話し、高額な年収の仕事を斡旋する。派遣先は、イラク。現地の水を飲みながら労働するうちに、目眩や下痢、嘔吐に見舞われるようになる。米兵が使用する劣化ウラン弾の影響で、水が放射能に汚染されているのだ。1年の契約期間を終えて帰国し、約束の年収は支払われたものの、全ては高額の医療費に消える。保険に入れないので医療費は払いきれず、イラクに行く前よりももっとひどい貧困状態に陥る──。

戦争をするためには、もはや徴兵制など必要ないのだという。政府は格差を拡大するような政策を次々と打ち出すだけでいい。経済的に追いつめられた国民は、黙っていても生活苦から戦争に行ってくれる。巨大な利益を生み出す戦争ビジネスは、社会の底辺に落とされた人々を大量に消費することによって回っているのだ。悪魔のシステムである。(08/05/18 読了)

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