読書日記 2009年

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なんとなく、クリスタル 田中康夫 新潮文庫 ★★☆☆☆

舞台は、1980年の東京。主人公は、昭和34年生まれ(!)の女子大生、由利。青春とはなにか!とか、恋愛とはなにか!とか、哲学少年みたいに考えたこともない。本もあんまし読んでないし、バカみたいになって一つのことに熱中することもない。なにも悩みなんて、ありゃしない、クリスタルな生活──。
これが80年代の青春小説!何ともお粗末な・・・。今読んでも何一つ得るところはない、全く普遍性のない小説。こういう大人たちが世の中をダメにしたのだ、と思う。

この小説はむしろ、80年代というクレイジーな時代に対するアンチ・テーゼとして捉えるべきかもしれず、それが著者の真意だったのかもしれない。しかしいずれにしても、この小説そのものがクリスタルな感じなので、小説として成功しているとは言い難い。(09/01/07 読了)

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