読書日記 2010年

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男と女はなぜ惹きあうのか 山元大輔 中公新書ラクレ ★★☆☆☆

「「フェロモン」学入門」という副題が付いている。著者は、ハエの性行動に関する遺伝的研究をしているが、ハエの話は少ししか出てこない。ヒトの性行動がどの程度遺伝的に支配されているかという話は興味深いが、いずれにせよあまりハッキリしたデータはないようだ。ヒトの鋤鼻器官が機能しているかどうかは、かなり懐疑的である。性周期が同調する「寄宿舎効果」は有名だが、それを引き起こす物質は未だに知られていない。また、HLAのタイプが似ていない人を好む傾向があるという話も有名な話だが、これもかなりcontroversialであるらしい。

ひとつ面白かったのは、右手の人差し指と薬指の長さの比が「男性性」「女性性」と相関しているという話だ。一般に、男性は薬指の方が長く、女性は人差し指と薬指の長さにあまり差がない。それが、ゲイの男性では、女性に近い傾向を示すという。いかにも竹内久美子が飛びつきそうなウサン臭い話題だが、まぁ呑み会の席では使えるかもしれない。

残念ながら、文章に品がなく(特にプロローグと第1章)、全体的に雑然としていて内容がすっきりと頭に入ってこない。個々のトピックは面白いはずで、幸いにして引用文献が付いているので、原著に当たったほうが良さそうだ。(10/09/21読了)

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