読書日記 2012年

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韓国人の作法 金栄勲 集英社新書 ★★☆☆☆

韓国と日本は、よく似ているところとそうでないところがあり、だからこそ面白いのだが、この本は日韓の文化を比較したものではない。主として欧米人にとっての韓国についてフシギを、質問形式で書いたものだ。そのため、なぜ干支があるのか、なぜサインでなく印鑑を使うのか、なぜお墓にお供えをするのか、なぜ4階がないのかなど、日本人にとっては当たり前のことも質問として挙げられている。(韓国語では、四と死はどちらも「サ」(사)と発音する。中国ではむしろ4は好まれるから、4を忌み嫌う風習は日本による植民地時代に始まったものらしい。)翻訳もこなれていない。

そのような訳で、読んでいて「目からウロコ」なのはあまりなかった。一つトリビアだったのは、「なぜ韓国では夫婦別姓なのか」ということだ。これは、韓国では、妻が夫に従わなくていいほど男女平等だからではない。事実はその逆で、韓国は伝統的に男尊女卑の社会であり、かつて、多くの女性には名前すらなかった。妻は夫の名前を名乗らないのではなく、名乗れないのだ。(12/10/02読了 13/02/10更新)

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