読書日記 2015年

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女子高生の裏社会 仁藤夢乃 光文社新書 ★★★☆☆

タイトルが適切かどうかは微妙だが、いわゆる「JK産業」で働く少女たちに対するルポ。『「関係性の貧困」に生きる少女たち』という副題が付いている。
しかし、ただのルポではない。1989年生まれの著者は、「では、どうしたらよいのか?」という提言を行い、Colaboという組織を立ち上げてそれを実践しているのである。

「JK産業」で働く少女たちには、①衣食住もままならないような貧困層、②経済的に困窮しているわけではないが、家庭や学校に問題がある「関係性の貧困」層、そして、③経済的にも関係性的にも貧困していない、ごく普通の生活安定層──の3パターンがあるという。なぜ彼女たちは、そういう世界に取り込まれてしまうのだろうか?スカウト・店長・オーナーという「裏社会」の人たちは巧みに連携して、彼女らに衣食住や仕事のやりがい(承認欲求)を与え、場合によっては学習支援まで行って、居場所を提供しているからなのだ。
裏社会にできることが、表社会(行政)にはできていない。これがリアルな現代日本の姿である。(15/11/17読了 15/12/21更新)

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