読書日記 2025年

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原子力はいる?いらない? ★★★☆☆ 山口昌子×川口マーン惠美 ワニブックス

ドイツとフランス在住の二人による対談。ドイツは2023年に完全な脱原発を達成したのに対し、フランスは世界一の原発大国で、いまなお発電量の60%以上を原発に頼っている。ドイツとフランスはお隣同士なのに、国民性が全く違うのが面白い。

安全保障上の問題(中東依存から脱却するといいつつ、太陽光パネルはほとんど中国産なので、再生エネルギーを推進するとむしろ中国依存が深まる)とか、原発の建設はほとんど日本製でまかなえるのに、原子力の不人気より技術の継承がされない問題などは、大いに納得できる。

とはいえ本書はかなり偏向しているので、割り引いて聞く必要がある。
この著者は、日本は核武装すべしとか、とっくの昔に頓挫した核燃料サイクルを推進すべしなどと主張している。
原発の良い点しか書かれていない本は信用できない。そうは言っても、誰も自分の地元に核廃棄物処理場を作ってほしいとは思わないのだから(だから、おカネをジャブジャブ投入しなければならないのだ)。

ここで語られているのは政治であり、著者は技術的なことに詳しいわけではない。
この問題に、正解はないのだ。

六ヶ所村──下北半島のマサカリの柄の部分にある──は、ぜひ訪れてみたいと思った。(25/05/22読了 25/05/24更新)

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