Home > 世界中の山に登りたい! > 荒山〜鍋割山

06:50 家出発(車)
09:20-09:45 姫百合駐車場
10:20-10:40 荒山高原
11:30-12:00 荒山山頂
13:15 荒山高原
13:50-14:20 鍋割山山頂
15:05 荒山山頂
15:35 姫百合駐車場
17:55 富士見温泉発(車)
20:15 家到着

最近、電車やバスを乗り継いで日帰りで行ける山のネタが枯渇してきた。しかし、ひとたび車を使うことを認めれば、私の住む練馬区からは、関越道方面へのアクセスが極めて良好であることに今更気が付いた。
すると、俄かに浮上してくるのが上州・群馬県の山である。このエリアには好事家向けのマニアックな山がゴロゴロあるのだが、交通の便が頗る悪いのだ。一番気になる存在は妙義山だが、最も易しい裏妙義でさえ鎖場の連続するスーパーハードなコースだと言われている。
この時期、岩場が凍結でもしていたらますます難度が上がってしまうので、まずは上州の山の入門として、百名山の一つであるがすっかり観光地化されてしまっている、赤城山とかいうユルめの山に行ってみることにした。

前の晩、娘がわざわざ私のベッドの上でおねしょをしてくれたので、著しく睡眠不足。
家を出ると一瞬にして練馬インターに着く。練馬区バンザイ。雲一つない快晴である。
関越道をひたすら北上すると、やがて前方に、のびやかに裾を引いた立派な山容が見えてくる。あれが目指す赤城山だ!
前橋インターで高速を下り、群馬県庁の脇をかすめて、赤城山の懐に向かって県道4号を快走する。次第に山道になり、早くも路肩に残雪が出現してゲゲっと思う。徐々に車道にも雪が現れ始め、やがて道は完全に雪で覆われてしまった。想定外…。
滑る滑る、ノーマルタイヤではとても太刀打ちできない。まだ登山口である大沼まではかなりの距離がありそう。臆病風に吹かれて、さっさと引き返すことにした。

赤城山なんてユルすぎていまいちテンションが上がらないぜ、などと思ってナメまくっていたが、麓に到達することすら出来ずに敗退とは情けない。群馬県恐るべし。
さて、引き返してからどうしよう…。とりあえず、雪のないところまで戻って駐車場に車を停める。地図を広げてみると、ここは「赤城ふれあいの森」というところらしい。何人か山の準備をしている人がいたので、どこに行くのか尋ねてみると、「鍋割山」との答え。ここから赤城山の最高峰、黒檜山まではとても到達できそうにない。今日のところは、「ユルい」はずの赤城山の更に前衛の山でガマンすることにするか。
登山道は最初から雪が残っているが、気温が高くて暑い。
ほどなく、雪解け水でぬかるんだ荒山高原に着く。南西に鍋割山、北東に荒山が聳えている。

荒山高原より荒山

少し悩んでから、まずは標高の高い荒山に向かうことにする。次第に積雪量も多く、傾斜もきつくなり、やがて雪と格闘するような格好になる。アイゼンを装着したいが、後ろから中年夫婦が追いかけてくるのでそのまま突き進む。
荒山高原から1時間足らずで荒山山頂に到達。頂上には小さな祠があった。暖かいが、雪で完全に覆われていてとても腰を落ち着けられる風情ではない。

荒山山頂の祠

荒山より鍋割山

山頂は樹木に囲まれていているが、雪を被った岩の上を注意深く進むと展望の開けたところを発見。
凄い!真っ白に雪を頂いた山脈が見える。あれが谷川連峰、まだ完全なる冬山の装いである。上空も晴れてはいるものの、鉛色の冬の空だ。ここは関東とはいえ、新潟は目と鼻の先なのだ。気象条件は東京あたりとは比べものにならないほど厳しい。
もう一箇所樹木のないところからは、アンテナの林立する地蔵岳と、その外側にある長七郎山が望まれた。赤城山にもまだ随分雪がありそうだ。

鈴ヶ岳(右)と真っ白な谷川連峰

地蔵岳(左)と長七郎山(右)、その向こうは皇海山?

榛名山(左)と小野子山・子持山(右)

おにぎりを立ち食いしてから、下山開始。同じ道を下りても面白くないので、周回コースを取ることにして南側に下山する。トレースは辛うじて付いていたが、誰にも会わない静かなコースだった。こちらの方が雪は少なくて、休憩に丁度いい露出した岩場もあった。
2つの分岐点を左折して、再び荒山高原に戻る。…はずが、眠さで頭がボーっとして、変な沢筋に入り込んでしまう。地図で現在位置を確認し、慌てて引き返す。荒山高原に辿り着いたのは1時過ぎだった。

少々焦りながら、鍋割山への登りに取り付く。稜線に出ると、展望が一気に開けて非常に気持ちがいい。なるほど、みんながこの山に向かう訳が分かった。地元民に愛され、気軽に登られている山なのだろう。
道は恐ろしくぬかるんでいて、登山靴の中にも容赦なく泥が入り込む。ぶらぶら歩いていくと、やがて広々とした鍋割山山頂に着く。
ここには小さなお地蔵さまが祀られていた。南側が大きく開け、広大な関東平野が広がっている。こちら側には目立った山は何もなく、ここが関東平野の果てであることが実感できる。
荒山ではまだ冬だったが、ここはもうすっかり春だ。この日は珍しく終日快晴だったが、今や風景はぼんやりとした春霞の中にある。空気が澄んでいれば富士山も見えるそうで、実際ここは群馬県富士見村という。しかし私としては、先ほどの厳しい谷川連峰の方が好きだ。

鍋割山山頂

鍋割山山頂のお地蔵さま

鈴ヶ岳(左)、地蔵岳(中央)、荒山(右)

ここで二度目の昼食を食べ、おもむろに下山開始。今度は来た道を引き返すだけなので、あっけなく駐車場に着いた。それにしても、登山靴にこびりついた泥が凄まじい。
県道4号を少し南下してから右折し、「富士見温泉ふれあい館」というところに行く。温泉に浸かったあと、休憩室で少し眠ろうとするが、地元民がカラオケを熱唱していてとても寝られたもんじゃない。
車だと、行きは時間を気にしなくていいので楽だが、帰りはキツい。睡魔と闘いながら、関越道をひたすら南下したのであった。
東京からわざわざこの山を登りに来る人も珍しいかもしれないが、もう少し暖かくなったら赤城山リベンジのためにまた戻って来ようっと。(06/04/06)

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