Home > 世界中の山に登りたい! > 四国随一の縦走路:見ノ越〜剣山〜三嶺〜名頃

三連休の初日に大阪で講演を終えたのちに、四国随一の縦走路との誉れ高い、剣山〜三嶺(徳島では「みうね」、高知では「さんれい」)縦走コースを踏破してきた。

剣山(1955m)は、石鎚山(1982m)に次ぐ西日本第二の高峰である。しかし剣山は、その名に反して、ケーブルカーの架けられた観光の山である。岩の殿堂である北アルプスの剱岳とはまるで趣が異なる。
百名山入りしているとはいえ、わざわざ四国まで出掛けて行って、この山だけ登ってくるのではあまりにも芸がないだろう。四国の誇る名峰、三嶺にまで是非とも足を伸ばしたい。
四国は交通の便がすこぶる悪い。でも有り難いことに、剣山の登山口である見ノ越と、三嶺の登山口である名頃を結ぶバスが1日に2便だけ運行されているようだった(時期が限られているので注意)。これをうまく利用することで、レンタカーを使った周回コースが可能になり、大阪起点・1泊2日でこのコースを攻略することができた。

【第1日】

07:35 なんば湊町バスターミナル(高速バス)
09:50 徳島駅着
10:10 徳島駅発(レンタカー)
13:20 見ノ越駐車場着
14:15 登山口発
14:55-15:05 西島駅
15:20 大剣神社
15:35 剣山山頂ヒュッテ
15:45 剣山山頂

大阪・なんばのバスターミナルから長距離バスに揺られ、緑の濃い淡路島を経て徳島に初上陸。これで、四十七都道府県を完全制覇したことになる(ただし、山口県と佐賀県は通過しかしていない)。
レンタカーが駅前まで迎えに来てくれた。ここから軽自動車を繰って、剣山の登山口、見ノ越に向かう。
徳島自動車道を美馬ICで降り、国道438号線に入る。ここは悪名高き難路で、(四国ではデフォルトなのかもしれないが)単線の山道が延々と続き、いつ出会い頭に対向車と衝突するかと思うと一瞬も気を抜けない。
見ノ越に到達するだけですっかり消耗してしまった。巨大な駐車場に車を停め、一服してから登山開始。

見ノ越の駐車場

剣山登山口

西島駅へ

剣山は家族連れで賑わっていた。リフトの終点、西島駅で道は3つに分岐するが、大剣神社を経由するルートを取る。登山口から1時間ちょっとで、本日の宿である剣山山頂ヒュッテにあっさりと到着。

鳥居をくぐって大剣コースへ

大剣神社裏の奇岩。右が大剣神社の御神体、大剣岩。後ろは次郎笈

剣山神社本宮

剣山山頂ヒュッテ

山頂付近はなだらかで広々としているが、長年のオーバーユースで山肌が痛めつけられ、三角点周辺は禿げ山になっている。植生回復のため木道が敷かれていて、三角点は注連縄で囲まれてアクセスできないようになっていた。

剣山山頂!

山頂より一ノ森への縦走路

【第2日】

05:25 剣山山頂ヒュッテ発
05:35 剣山山頂
06:10-06:25 次郎笈
07:10-07:20 丸石
07:40 丸石避難小屋
08:15-08:30 高ノ瀬
09:45 白髭避難小屋
09:55 白髭分岐
10:25-10:35 カヤハゲ
11:20-11:50 三嶺山頂
13:05 名頃着
13:43 名頃バス停発(バス)
14:08 見ノ越駐車場着

5時25分、日の出の直前に出発する。剣山山頂を再び越え、次郎笈へと向かう稜線上で日の出を迎える。稜線が朝日に輝き、実に清々しい。

次郎笈へと続く稜線

剣山からの縦走路が朝日に輝く

笹で覆われた次郎笈山頂

次郎笈山頂!

次郎笈山頂より遥か彼方に三嶺をのぞむ

次郎笈山頂より塔丸(手前)・矢筈山(奥)

次郎笈(じろうぎゅう、1930m)は石鎚山、剣山、そして屋久島の宮之浦岳に次ぐ西日本第4の高峰であり、剣山が太郎笈とも呼ばれることからこの名がある。それにしても四国の山の名前は独特だ。
空は晴れ渡っていた。目指す三嶺の頂は、遥か彼方である。

そこから丸石(1684m)、高ノ瀬(こうのせ、1741m)という具合に、小さなアップダウンを繰り返しながら、笹に覆われた気持ちの良い縦走路を歩いてゆく。モロッコの荒涼とした山を歩いてきた身にとっては、日本の山は美しいと改めて思う。

立ち枯れ

丸石へ

丸石山頂より剣山を仰ぐ

木で覆われた高ノ瀬山頂

高ノ瀬を過ぎても、まだ三嶺に至る縦走路の半分にも満たない。
立ち枯れの白が青空に映え、青・白・緑のコントラストが美しい。まさに絶景である。

ツグミ(?)

剣山・次郎笈・高ノ瀬を振り返る

三嶺へ・・・

青・白・緑①

青・白・緑②

笹の斜面の縦走路をゆく

笹原と鱗雲①

笹原と鱗雲②

三嶺が大きい

白髭避難小屋を過ぎ、白髭山分岐を右に折れると、信じられないほど下降しはじめる。
そして、三嶺の頂を目指して、急坂を一気に登り返す。終盤にはちょっとした鎖場もあった。

白髭避難小屋

白髭山分岐

カヤハゲより三嶺

三嶺山頂付近

やっとの思いで辿り着いた三嶺の頂からは、剣山が遠かった。剣山山頂から三嶺山頂まで、17kmの縦走路だった。
遥か遠方には、四国アイランドの最高峰にして西日本最高峰、石鎚山が望まれた。2年前のゴールデンウィークに、石鎚山から東赤石岳に至る、50kmに及ぶ長大な縦走路を3日がかりで踏破したことがある。そのときは連日パッとしない天気で、ほとんど景色が見えなかった。だから、四国の内陸部には実際のところ山しかないのだが、それは全く馴染みのない風景だった。

三嶺山頂に到着!

三嶺山頂より南側:カヤハゲ・白髪山

三嶺山頂より東側:剣山(中央左)・次郎笈(中央右)

三嶺山頂より北側:矢筈山方面

三嶺山頂より西側:西熊山・天狗塚(左奥の尖ったピーク)、石鎚山方面

三嶺ヒュッテ(無人小屋)

山頂でのんびりしたいところだが、バスの時間が迫っていた。30分ほどで山頂を辞し、急斜面を一気に駆け下りる。
13時05分、名頃着。見ノ越行きのバスに間に合った!コースタイム9時間のところ、休憩を除いて6時間20分程度で踏破できたのは良かった。

これが64番目の百名山、96・97番目の三百名山。しかし、百名山はまだ36座も残っている。北海道や九州など、周辺部が次第に取り残されてきた。

Copyright 2015 Yoshihito Niimura All Rights Reserved.