読書日記 2008年

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自衛隊 変容のゆくえ 前田哲男 岩波新書 ★★☆☆☆

あまりにも政治的すぎて、読むのがしんどい。本書が提示するものは、学問ではなく政治そのものである。
事実から結論を導き出すのが学問だとすれば、結論が先にあって、それに都合の良い事実を見つけて(あるいは捏造して)つなぎ合わせるのが政治である。これならば、テレビの討論番組でも見ている方が楽しい。また、相当に急いで書いたものらしく、あまりオーガナイズされていない。

しかしながら、本書の主張は至極まっとうだと思われる。現在自衛隊は、米軍の一部であるかのように再編成されようとしている。日本政府は、可能な選択肢の中でも最悪のものを選んだように思われてならない。今や日本は、国防費が世界第6位の軍事大国である。
結局のところ、「憲法押しつけ論」は正しくないし、自衛隊は米国に押しつけられたものである。このご時世に憲法を改正しようなどというのは、時代遅れも甚だしい。こんなに希望のない話もない。それに対して、前世紀までひたすら蛮行を繰り返してきた欧州は、やはり社会が成熟しているな、と思う。(08/02/15 読了)

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