読書日記 2008年

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はじめての言語学 黒田龍之介 講談社現代新書 ★★☆☆☆

題名に偽りなし、である。まぁ、言語学のゲの字も知らない人には良いかもしれない。しかし、それにしてもやや子供騙しな感じがした。

できるだけ多くの言語に触れるべき、というスタンスは好きである。「母国語」ではなく「母語」を使え、というのも常々思っていることである。しかしそれでも、日本語には「非母語」を表す言葉がないという問題は残る。(アイヌ語や沖縄語は「外国語」か?)

保全言語学に関する記述はイマイチである。言語と方言の違いに関して、

言語だったら、家でも、学校でも、職場でも使える。ただおしゃべりすることもできるし、上司と仕事の話もできるし、葬式の弔辞も読める。テレビやラジオが放送され、本や新聞が発行されていなければならない。方言だったら、このうちの一部しかできないはずだ。

(P.210)というのはおかしい。地球上に存在する言語の大部分は、テレビやラジオの放送なんかされていないし、本や新聞も発行されていない!そういう言語は、将来を保証された、ごく一部の大言語だけである。プロの言語学者がなぜこういうことを言うのか理解できない・・・。(08/05/13 読了)

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