読書日記 2012年

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40ヵ国語習得法 新名美次 講談社ブルーバックス ★★★☆☆

ある言語を喋れるようになることは、その民族を知るための最良の方法であろう。それどころか、民族とは言語そのものであると言ってもいい。だから、ポログロットになるということは、様々な自分を生きるということでもある。

ニューヨークで眼科医を営んでいる著者は、実際に40ヵ国語(40種類の言語)を操ることができるのだという。その多くはヨーロッパの印欧語であるが、トルコ語、アラビア語、ペルシャ語、ヒンディー語、インドネシア語、タイ語、ベトナム語、中国語、韓国語、スワヒリ語などのアジア・アフリカの主要言語も一通り網羅しているから、これは相当に偉大な記録である。1言語に1年かけても40年かかるわけだから、一体どうやったらそんなことが可能なのか、皆目見当もつかない。

この本に書かれていることは、外国語を学ぶ上で当たり前のことばかりで、全てごもっともである。しかし、この当たり前の勉強法を40回繰り返すには、一人の人間の人生は短すぎるように思われる。文法を学ぶ作業は楽しくて易しいが、単語を暗記する作業は楽しくないし、時間がかかる。200語程度の語彙力では会話はできない(喋ることはできたとしても、相手が何を言っているのか分からない)。似た系統の言語ならばそれほどの労力は要らないだろうが、各系統の言語について、数千の単語を覚え込む作業が必要になってくるだろう。その作業は、相当に強いモチベーションがなければできそうにない。(12/09/10読了 13/02/09更新)

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