読書日記 2018年

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よく晴れた日にイランへ 蔵前仁一 旅行人 ★★★☆☆

イランは、周辺をパキスタン・アフガニスタン・トルクメニスタン・アゼルバイジャン・アルメニア・トルコ・イラク、およびペルシャ湾とカスピ海に囲まれており、このエリアの要のような位置にある。

イランは山がちな国である。
最高峰はダマバンド(دماوند)であり、5610mもの標高を誇る。それに加えて、4000m峰が100以上もある(List of Iranian Four Thousanders)。

イランは日本の4.4倍もの国土をもち、世界でも17番目に広い国である。従って、ひとことでイランといっても、国内に多様性を内包している。
イランといえばペルシャ人の国というイメージだが、実はペルシャ人は全人口の約半分(51%)に過ぎない。
アゼリー人(アゼルバイジャン人)が全体の約4分の1(26%)を占めている。北部には東アゼルバイジャン州、西アゼルバイジャン州の2州がある。実は、アゼルバイジャンに住むアゼリー人(815万人)よりもはるかに多くのアゼリー人(約2000万人)がイラン国内に住んでいるのである。
次いで、クルド人が10%を占める。クルド人というとあらゆる国で迫害されているイメージだが、イランにはクルディスタン(「クルド人の土地」)州がある。
その次に多いのは、イラン・パキスタン・アフガニスタンの国境地帯に住むバルーチ人(1.8%)である。東部にはシスタン・バルチスタン州があるが、こちらは外務省により渡航中止勧告(レベル3)が出されている。

イランは謎の国だ。本書では、そのイランのさらに辺境部、多様性の部分を巡る。クルディスタンに簡単に行けるなんて知らなかった。
例によって蔵前仁一の紀行文は薄っぺらくて、盛り上がらない。文章も巧いとはいえない。
それにしても、30万円分も両替するとは随分と豪勢だこと。別にこれを読んで、氏と同じ場所に行こうとは思わないが、情報の乏しいエリアなのでガイドブックとしての価値はある。なにしろ、『地球の歩き方 イラン』の(物理的な)薄っぺらさは異常なのである。(18/12/24読了 19/01/20更新)

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