読書日記 2019年

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シリア情勢 青山弘之 岩波新書 ★☆☆☆☆

著者は一体、読者になにを伝えたかったのだろう?

悪い意味で教科書的で、砂を噛むような無味乾燥な記述が続く。著者の実体験に基づいた、活き活きとした記述は一つもない。
文章もすこぶる読みにくく、一つも頭に入ってこない。もってまわったような表現が多く、無駄な括弧が多用され、読みにくいことこの上ない。

「まえがき」で著者はいう:

本書では、感情の赴くままに、読者の憂いや憤りに訴えかけるような記述は行わない。政治的、人道的なメッセージを発信したり、実現性を欠く理想論を掲げたりもしない。本書では、こうした無責任なアプローチを避け、シリア内戦を可能な限り、冷静、ないしは冷淡に記述することを心がける。

たしかに、本書には何のメッセージもなく、ではどうすれば良いかという提言もない。
国際情勢について語っていながら、政治的なメッセージを発するのがなぜ「無責任」なのか、理解に苦しむ。
そもそもこれがシリアについての「研究」と呼べるのかどうか甚だ疑問であるが、ただ統計的なデータをつらつらと書き並べただけで、なんの提言も行わない方がよっぽど無責任ではないのか?(19/02/03読了 19/02/08更新)

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