読書日記 2019年

Home > 読書日記 > 2019年

村上春樹 雑文集 村上春樹 新潮文庫 ★★☆☆☆

玉石混淆・・・といいたいところだが、大半が「石」。これは、よほどコアなハルキストじゃないと楽しめないんじゃないだろうか?
「雑文集」というからエッセイ集かと思いきや、授賞式での挨拶や、CDや本の解説などを集めたもので、それ自体で完結しているわけではない。特に、ジャズの解説は全くもって意味不明。
そもそも、村上春樹は文章が巧いのだろうか?音楽的な、ジャズのような文章と言われればそうかもしれないが、似たような冗長な文章が多いんだよね。次の展開が予想できるというか。

この中で読む価値があると思ったのは、エルサレム賞の授賞式、「壁と卵」のスピーチである。しかし個人的には、メッセージを伝えるのが目的なら、授賞式に出席すれども賞は拒否する、くらいの気概を見せて欲しかった。
村上春樹は、地下鉄サリン事件の被害者たちへのインタビューを集めて『アンダーグラウンド』を書いた。日本にオウム真理教が存在したことは、もはや歴史的と言っていい。「平成」とは何だったのか、ちょっと考えてみようと思った。(19/10/29読了 19/11/13更新)

前へ   読書日記 2019年   次へ

Copyright 2019 Yoshihito Niimura All Rights Reserved.