Home > マラソンの記録 > 2019年 つくばマラソン

公式記録   5:09:32
ネットタイム 5:08:29

Start 0:01:03
5km 0:32:49 0:31:46
10km 1:04:29 0:31:40
15km 1:35:52 0:31:23
20km 2:07:18 0:31:26
Half 2:14:20
25km 2:40:41 0:33:23
30km 3:21:39 0:40:58
35km 4:09:59 0:48:20
40km 4:51:35 0:41:36
Finish 5:09:32 0:17:57(8451位/9613)

本番6週間前に20キロ走を敢行し、さぁこれからロング走を・・・と思っていた矢先だった。その3日後にそこそこのペースで10キロ走ったところ、翌日、過労のため39度の高熱を発して斃れた。
熱は数日で下がったものの、免疫系がボロボロになり、口内炎とヘルペスが次から次へとできた。体力のベースラインがネガティブになり、毎日栄養ドリンクを飲まないと日常生活を送ることもままならない有様だった。とても練習どころではなかった。
毎年、つくばマラソンの前の週は風邪が流行る。ウイルスは脆弱な免疫系を易々と突破し、私は本番3日前に風邪を引いた。前日も驚くほど体調が悪く、一日中寝て過ごした。参加するかどうか、最後まで逡巡した。

レース当日。 新御徒町駅からつくばエキスプレスに乗るも、タッチの差で座れなかった。
例年は研究学園駅からバスに乗って会場へ向かうのだが、今回はつくば駅からバスに乗ることにした。ところが、つくば駅を降りると、徒歩で会場へ向かう人の群の中に迷い込んでしまった。駅から会場までの道のりは遠く、30分以上もかかった。
こうして、会場に到達するだけで疲れ切った。昨日寝てチャージした体力の半分を消費してしまった。
会場入りしたときには雨は降っていなかったが、昨日の豪雨で会場は泥沼と化していた。荷物を預けに行くときにランニングシューズが泥だらけになって、無駄にテンションが下がった。
トイレの列に並んでいるうちに雨が降り始め、次第に雨脚が強くなってきた。
スタートラインに立つ頃には土砂降りになり、震えながら15分以上も待たなければならなかった。ビニールのポンチョを着てきて正解だった。これがなければ、低体温症でリタイアしていたかもしれない。

スタート。
特にペースは決めていなかったが、身体の赴くままにゆったりとしたペースで走る。次々に抜かされていくが、気にしない。
このペースだと呼吸数も心拍数も上がらず、したがってテンションも上がらない。最初の5キロが既に遠い。
ゆっくり走れば失速しないかというと、どうもそうでもないらしい。ゆっくり走ると、そのぶん長い時間走らなければならないのだ。
最初の20キロまでは、感動的に美しいラップを刻んでしまった。
しかし、ハーフを過ぎる頃には、既に足がパンパンになっていた。なにしろ、前回のフルマラソン以降、この8ヶ月間に走った最長の距離が20キロ(しかも1回だけ)なのだから、無理もない。
早くも失速し始め、25キロを過ぎてしばらくすると歩くようなペースになってしまう。どんどん抜かされる。とにかく30キロまでは頑張って走ろうと思う。
30キロ地点を通過した瞬間に気持ちが折れ、早くも歩き始める。30キロから歩き始めてしまうと、ゴールは絶望的に遠い。失速した末に歩き始めると、普通に歩くよりもずっと遅くしか歩けないのである。さっき会場まで歩いた元気をここで使いたかった・・・。
突然、日が差し始めた。つくばの田園風景がきらきらと輝き、雲の隙間から筑波山が神々しい姿を現した。
そんな景色をぼんやりと眺めながら歩いていくうち、後方から大集団の足音が近づいてくると思うと、4時間半のペースランナーに追い抜かれた。
咄嗟に、この集団に着いていこうと思い、走りはじめる。が、ものの100メートルも走らないうちに脚が攣り、さっさと諦める。
35キロまでとぼとぼと歩き続ける。この5キロは48分もかかった。このペースで行くと、次の5キロは1時間もかかりそうな勢いだ。
が、「あとたったの皇居1周じゃないか・・・!」と思い直し、恐る恐る走りはじめる。脚は攣らない。そこから持ち直し、上り坂以外は歩くことなく走り続けた。 37キロ通過、残り5キロ。ここでようやくポンチョを脱ぎ捨て、気合いを入れる。といってもペースはキロ8以上には上がらない。
ここから先は進むにつれて残りの距離が減っていき、希望が湧いてくる。
39キロ手前、5時間のペースランナーにも抜かされる。ウェーブスタートのため、私よりも10分遅いスタートである。だから、もはやサブ5も絶望的だった。
ペースランナーが私を追い越し際に、後ろを振り返ってこう言った。「楽しみにしていたつくばマラソンも、あと3キロちょっとで終わりですよ!」
そうだ、一刻も早く、このくそいまいましいレースを終わらせるのだ!!
どこかの学生さんが沿道に一列に並んで、ZARDの「負けないで」を熱唱しているのを聞いて泣きそうになる。くそぅ、なんて音痴なんだ!
角を曲がるとゴールゲートが目に飛び込んでくる。最後に前の人を追い抜こうとして動かない脚で猛ダッシュ、ゴールゲートをくぐると同時に脚が激しく攣って地面に崩れ落ちる。サポートの学生さんが助けてくれた。ありがとう、ありがとう。

これが人生17回目のフルマラソン。
これまでのワースト記録を6分更新してしまった。
今までなら、失速したレースには不完全燃焼感しか感じなかった。でも今回は、無事にゴールできたことが純粋に嬉しい。フルマラソンにこんなに達成感があるなんて。
そして不思議なことに、めちゃめちゃ疲れたけど、スタートする前よりも元気になった気がするのだ。一種のショック療法だったのかもしれない。

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