読書日記 2011年

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調香師の手帖(ノオト) 中村祥二 朝日文庫 ★★★★☆

何十年もの間、様々な香りとつきあい続けてきた調香師による、格調高い随筆集。香りの世界は、ロマンに満ち溢れている。乳香や没薬、ムスクやアンバーグリス、あるいは白檀や沈香・・・クレオパトラや楊貴妃、そして源氏物語も、香りによって豊かに彩られている。

これまで、匂いそのものに対してはほとんど興味がなかった。けれども、嗅覚というシステムについて調べを進めていくうちに、香りの世界が限りなく豊穣な広がりをもっていることに気付かされた。香水というと、これまではむしろネガティブなイメージしかなかったけれども、それはパフューマーの創造した香りのシンフォニーだったのだ。

この本には、多種多様な香りが登場する。けれども、いくら著者が言葉を尽くして説明したくれたところで、実際に嗅いでみないことにはその匂いは決して分からないのが残念だ。これが香りつきの本だったなら、どんなに素晴らしいことだろう。(11/09/21読了)

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